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北海道の自然資本に着眼したネイチャーポジティブ型社会の可能性


道東カーボンファーミング研究会 主催セミナー REPORT

2024年4月3日、札幌にて2024年度研究会の成果報告と同時に九州大学教授、ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム理事長等を歴任する馬奈木俊介氏(プロフィールは下)をゲストに招き、カーボンクレジットの動向とポテンシャル』をテーマとしたセミナーを開催しました。



企業や地域のESG活動を数値で可視化し、カーボンクレジット等の経済手法を駆使することで地域社会のウェルビーイングの実現を訴える馬奈木氏からは北海道酪農に広がる可能性として以下のような視座が提示されました。


●物的資本、人的資本など今後の社会づくりに役立てる資本の切り口は幾つかある。しかしながら最も注目されていくのは自然資本。既に自然由来のカーボンクレジットは高値で取引されている。

●北海道に残されている豊かな自然資本を活かすことには大きなチャンスがある。海外では自然資本由来のクレジットにシフトしつつある。日本でいい事例を小さくても良いから海外市場に出すことでポテンシャルへの評価が行われる。

●ポイントは物的資本(インフラ)、人的資本、自然資本を計測し、数値データ化を行うこと。馬奈木氏はそれを新国富指標(Inclusive Wealth)を名付けているが、数値での見える化で従来主観的にしか語られてこなかった幸福と経済成長の間にあるギャップが埋めていけるのはないか。



研究会メンバーも含め27名の参加者からは「ネイチャーポジティブは今後当社の大きな課題となる。北海道の自然資本をどう活かしていくか、よく考えたい」「数値化で陸と川と海を結日、酪農と漁業もつないだ地域全体のネイチャーポジティブが実現できるのではないか」「従来、カウントできなかった作業福祉施設の人的資本と自然資本を結びつけて、事業活動の価値発見が出来そう」といった意見交換が行われました。


※馬奈木俊介氏プロフィール

九州大学大学院工学研究院主幹教授・都市研究センター長/一般社団法人ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム︎理事長

国連「新国富報告書2018」代表、国連「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」代表執筆者、国連「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)統括代表執筆者。環境省「ネイチャーポジティブ経済研究会」委員


馬奈木俊介研究室︎ 

一般社団法人ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム︎ 



また、道東カーボンファーミング研究会 山本事務局長から2023年度活動成果として6牧場9地点における土壌分析調査結果報告、そして中山会長からは自然農法と慣行農法の良さをミックスした、北海道道東エリアならではの環境再生型農法(リジェネラティブ農業)への挑戦への決意と2024年度活動の抱負が述べられました。

会終了後には参加者同士の交流が行われ、北海道のカーボンファーミング推進のステップとなりました。

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